Episode ここだけの話など

008.これまでの出版を振り返って 

たくさん本を出しました 
 
さて、これまで、僕は共著を含めて約50冊の本を書いてきました。
何を書いてきたかというと、例えば小泉政権当時、有事法制の議論があるときに書店へ行くとします。
そこには反対の本しかありません。
その内容は、有事法制の成立により、戦争する国になる。
国民は総動員され、国民皆兵の総抵抗の国家体制を律するのが有事法制であり、周辺国に一方的な対日侵攻の意図などまったくないのに、超憲法的な国家体制にまで踏み込みかねない法制を、いまなぜ騒ぐ必要があるのか。
いたずらに周辺国への敵意と警戒心を煽るだけだと、このようなものでした。
だから僕は『急げ!有事法制』(朝雲新聞社)という賛成の立場での本を書きました。国民(読者)に、間違った解釈や感情を抱かせることに我慢がならなかったからです。僕には、間違いを正し、正確に伝える使命があります。
民主党が修正のうえ賛成にまわり、有事法制(武力攻撃事態法)は、成立後、すでに14年を経過しました。
反対者が叫んでいたことは現実とはならず、わが国の独立と平和は守られています。もし、成立していなければと思うと、背筋が寒くなる思いです。

冊子・本、橋本龍太郎本もつくった
 
先ほどもお話ししましたが、僕はいろいろな本をつくりました。
PKO法ができたので、PKOについての『一問一答集』(自民党)というものをつくりましたし、当時、憲法調査会ができて、会長に、防衛庁長官を務められた栗原祐幸さんが就かれて、僕は、その事務方として『中間報告』をまとめました。
その後、僕は、自民党が野党になった時に、政調会長室長になりました。
そして政調会長の橋本龍太郎さんとPRするために、僕がアイディアを出して『VISION OF JAPAN わが胸中に政策ありて』(ベストセラーズ)という本をつくりました。

『VISION OF JAPAN』。英訳本もプロデュース。

この本の要旨は、「長生きして幸せだったといえる国『自分の足で立つ国家』への的確なビジョン」で、「『新世界秩序』の中の日本の役割」、「『長寿社会』への長期的視点と政策」、「『環境保全先進国』としての国際貢献」の三部から構成されています。
この本は、橋本さんの人気もあって10万部のベストセラーになりました。
橋本さんには本の印税が結構入りました。
橋本さんからその時に「君のお陰で、地元の事務所の修理ができてありがとう」と言われました。
その後『政権奪回論』(講談社)という、300ページを超える本もプロデュースしました。
その結果、自民党は、政権を奪回しました。
 
その頃同時に、僕は自分で『憲法と安全保障』(南窓社)という本を出しました。
次に『日本国憲法見直し論』(ベストセラーズ)という本も出しました。
この時はまだ憲法改正議論はタブーでした。
憲法改正は、もってのほかという時代でした。だから『日本国憲法見直し論』となったのです。
この本を書いたときに、出版社の方に言われました。
「普通は本の最後に著者の写真が入るのですが、田村さん、今回は写真はやめましょう。狙われるかもしれないから」
当時は、そんな時代だったのです。
いまは、憲法改正議論が当たり前の時代になりました。
でも当時、僕が憲法改正の本を出した時は、そんな時代でした。

9・11以降
 
その後、米国で9・11テロ事件が起き、自民党に「米国同時多発テロ事件対策本部」が設置され、その下に「情報収集等検討チーム」ができました。
その座長は、町村信孝幹事長代理が務めました。
僕はその事務局を担当し、その後、イギリスに調査に行くなど検討を重ね、「国家の情報収集機能強化に関する提言」を出して、それなりに政府のインテリジェンスに関連する事項が進んできています。
こうしたことを中心に『政治と危機管理』(丹羽文生氏と共著、内外出版)を出版しました。

『政治と危機管理』(丹羽文生氏との共著)

この本は、平成18年9月13日の日経新聞(夕刊)を見ると、東京・三省堂書店神田本店で、9月4日から9月10日まで、第1位でした。
このことを知ったのは、友人から興奮した電話が来たからです。
「田村さん、『政治と危機管理』(内外出版)の本が、今日の日経新聞の夕刊にベストセラーの1位になったことが出ていますよ」というものでした。
早速、共著者の丹羽(文生)君に連絡したら、「ビックリして、ぼっ・・ぼくの名前も出ているんですか」というものですから、「勿論、出ているよ」と言ったら、興奮していました。
本は第3刷になりました。
 
そして防衛駐在官の待遇を改善させるような仕事もやりました。
イラクの自衛隊派遣についての現地調査団にも参加して、イラクに行ってきました。
そして、イラクの人道復興支援から戻って来た自衛官の活躍を『武士道の国から来た自衛隊』(扶桑社)という本にして出しました。僕は、この本のプロデュースもしました。
 
その後、自民党で、新憲法制定推進本部ができて事務局を担当し、立党50年に自民党の『新憲法草案』つくりにも参画しました。
その経緯とか内容については、『新憲法はこうなる』(講談社)という本を出していますので、それを見てもらうとよく分かると思います。
ヒゲの隊長・佐藤正久(外務副大臣)さんの『イラク自衛隊「戦闘記」』(講談社)の出版にも関わりました。

防衛庁が防衛省になりました
 
防衛庁が防衛省に移行され、防衛省の若手の諸君が、防衛省の誕生について本にまとめたいということで、これも僕が協力をして『防衛省誕生ーその意義と歴史ー』(内外出版)という本をつくりました。

 
『防衛省誕生ーその意義と歴史ー』

この本の出版は、防衛庁が防衛省以降までの記録を後世のために伝えたいという防衛省職員の熱き思いからでした。
本は、防衛省移行への取り組み、歴史、経過、法律案の決定とプロセス、国会審議の詳細などのすべてが分かるように構成されています。
防衛省のことや安全保障・防衛政策を考えるうえで最良の1冊にまとめました。
巻頭には、当時の守屋武昌事務次官の写真入り訓示を掲載し、永久保存版として上製本に仕上げました。そこには、久間防衛大臣の談話も掲載し、たちまち完売となり、すぐさま重版となりました。
その後、テロや海賊など、いろいろな問題が起きていますから、それに対しても国民世論に訴えないといけないということと、みなさんからの質疑にお応えする意味で、「防衛知識普及会」(この名称は商標登録済です)をつくりました。
その名前で『テロ特措法 海上自衛隊の給油活動』『新テロ対策特措法 石破防衛大臣に聞く』『海賊対策 海上警備行動と海賊対処法案』『防衛省改革』と連続して本を出すようにしました。
そして、『日本の防衛政策 第2版』(内外出版)。この本はまさに、みなさんにぜひ読んでもらいたい本です。防衛に関係する人には「鬼に金棒」になります。
 また、防衛政策の入門書としては、『知らなきゃヤバい!防衛政策の真実』(育鵬社)が最適です。
これは、防衛行政に携わるみなさんは勿論ですが、安全保障に関心のある学生さんや主婦の方にもサラリーマンの方にも、様々な仕事をするうえで、また防衛政策の仕組みを学ぶうえで大変参考になると思います。

あなたも安保法制の専門家に!
 
平成26年7月1日、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の装備について」が閣議決定され、今後の安保法制整備の方向性が示されました。
これに嚙みついたのが「安倍政権は日本の軍国化を目指している」「米国が起こす戦争に加担することになる」「徴兵制を復活させて若者を戦場に送ろうとしている」といった批判です。
このように、安倍政権の安保法制検討が始まった途端、こんな的外れで乱暴な批判が起こりました。
ある政治家は安倍総理のことを「ペテン師のやり口」と口汚く罵りました。
 
これに対して、日本の安全保障の在り方を真摯に学ぼうとしている多くの国民のみなさんに、正しい情報を提供することが僕に課せられた使命であり、天命であるとの思いから、土・日・休日返上で急遽『安倍政権と安保法制』(内外出版)を書き上げました。
お蔭さまでこの本も爆発的ヒットを飛ばし、すでに第4刷まで版を重ねています。

『安倍政権と安保法制』

 
ここで僕の好きな言葉を2つ紹介します。
 
「平和というものはただ平和、平和と口で言うだけでは達成されないので、平和を破るような行為を阻止する手段を講じることが必要なのだ」(小泉信三 元慶應義塾塾長)
 
「憲法に『平和』と書けば、『平和』になるのであれば、憲法に『台風は日本に来るな』と書けばよい」(田中美智太郎 京都大学名誉教授)
 
憲法9条を世界にPRすれば平和が実現できるというのは『幻想』です。
日本を取り巻く安全保障環境は、そんなに生易しいものではありません。
そこをしっかり説明していくのが、僕の使命です。
この『安倍政権と安保法制』を出版して以降、安保法制および平和安全法制の講演活動の依頼が各地から寄せられ、北海道から鹿児島まで全国各地を飛び回ってきました。
テレビの「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)やチャンネル桜の討論番組などにも積極的に出演するなど、ひとりでも多くの方に平和安全法制の必要性を理解していただく活動を展開しました。
平和安全法制の真実ー冷戦後の安全保障・外交政策ー』(内外出版)は、僕の講演を聞きたくても聞くチャンスがない方のために、その後の動きを踏まえ出版したものです。
この2冊と最近出版した『知らなきゃヤバい!防衛政策の真実』(育鵬社)を読めば、平和安全法制の必要性が理解でき、そればかりか安保法制の専門家と変わらない知識が身につくことでしょう。
集団的自衛権と集団安全保障の違いも明確に理解できます。

防衛装備庁の新設
 
平成27年10月、防衛省の外局として、装備品等の効果的かつ効率的な取得や国際的な防衛装備・技術協力を行うため、防衛装備庁が新設され、これに伴い、装備施設本部は廃止されました。
そのはるか前身である調達実施本部が江東区越中島に発足したのは、防衛庁の創設とともに昭和29年7月のことでした。
平成10年には調達実施本部背任事件が起こり、当時、六本木にあった防衛庁一号館から段ボール詰めの書類が押収されるのをテレビでご覧になった方もおられるでしょう。
そのようなこともあり調達実施本部は廃止され、契約本部が新設されたのは平成13年でした。
そして、平成18年には装備本部となり、わずか1年2ヶ月後には装備施設本部に変わりました。
防衛装備庁の新設に伴い、防衛省の中堅・若手官僚26名が中心となり『防衛装備庁と装備政策の解説』(内外出版)を刊行する運びとなり、僕も策定をお手伝いすることになりました。

『防衛装備庁と装備政策の解説』

今や防衛省の新たなフロンティアとなった防衛装備行政がどのようなものか、それを推進する防衛装備庁の任務や組織を、国民のみなさんに広く知っていただこうと出版したものでした。
渡辺秀明初代長官には「巻頭の挨拶」を、吉田正一元大臣官房審議官には「はじめに」を、堀地徹装備政策部長には「結語」と、そして中谷元・防衛大臣に推薦の言葉を頂戴し、豪華布陣での執筆となりました。
この本は、日本の防衛装備に関する決定版であり、これを読めば、防衛装備の歴史、現状、将来を正確に理解できるものです。
職員のみなさんのバイブルとしても活用していただいております。
 
『本を出すと人生が変わる! (田村重信、蜂巣郁雄共著)』