Episode ここだけの話など

006.自分で決めていくにはまず学ぶこと

現代日本の成り立ち
 
日本が第二次世界大戦に負けた後は、ものすごく悲惨でしたよね。食べるものもないし、何もなかったわけなんです。
アメリカは、日本が二度とアメリカに歯向かわせないような占領政策をとりました。
経済も軍事もみんな、「ぺしゃんこ」にしたんです。その後、日本画どんどん頑張って経済を成長させていったわけですね。ところが、70年以上たっても、そのままのものがあります。
それが、日本国憲法です。
今の憲法が日本にできた時に、軍隊を持てない憲法で出発をしています。
じゃあ、日本の国は誰が守るのか?
占領軍が守る。アメリカの軍隊が守る。ということだったわけです。
それがどうして変わったのかといったら、朝鮮戦争(1950年)ですよ。
朝鮮戦争で米軍が朝鮮半島に行きますから、日本はがら空きになります。
それでマッカーサーが、当時の吉田首相に警察予備隊を作れ、ということで、警察予備隊ができて、それから保安隊ができて自衛隊ができた。
そして今日に至るということなんです。
 
同様に敗戦国の西ドイツも、軍隊を持たない憲法で出発しましたが、同じく朝鮮戦争がきっかけで、軍隊を持つことになりました。
西ドイツの場合は、西側のNATOと東側のワルシャワ条約機構という大きな対立構図がありました。西ドイツはNATOの一員としての軍隊を持ったわけです。
その時、西ドイツは猛烈に憲法改正の議論をし、そして憲法改正をして軍隊を持ったということなんです。

憲法と自衛隊の関係を学ぶには『新・防衛法制』
 
日本は自衛隊ができるわけですけれど、その時は、猛烈な憲法改正の議論はしないで、自衛隊を作った。だから今になっても、憲法9条と自衛隊の関係というのは、極めて分かりにくい状況になっています。
戦後は、この点についてきちんと教えてこなかった。大学でも教えなかった。憲法学者の大半は、憲法違反の自衛隊としています。
だから憲法と自衛隊の関係などは、詳しく説明しなかったというのが現状です。
新・防衛法制』という本が出ました。これは『日本の防衛法制 第2版』の改訂版です。
900ページを超える本になりました。これには自衛隊と憲法の関係、諸々の防衛法制の問題を詳しく、分かりやすく説明しています。

 
2018年の自民党総裁選挙でも、この問題が話題になりましたよね。
たとえば、自衛隊は憲法上軍隊ではない。
しかし、外国に行ったらどうなるかといったら、国際法上は軍隊として扱われる、という話なのです。
 では、国際法上は軍隊ならば、自衛官はジュネーブ条約上、例えば捕虜として扱われるかについて話題になりました。
捕虜として扱われるというのが正解です。
しかし、平和安全法制の議論の時に、当時の外務大臣がPKOなどでは捕虜にならないと言っています。PKOは戦争ではないので、捕虜になる可能性が極めて低いことからそう答弁したのです。
この点は安全保障の専門家でも間違うことがあります。ややこしい話なんです。
 
自衛隊というのは何か?
憲法9条では戦力は持てない。軍隊は持てないということになっています。ただし、日本は独立国だから自分の国を守る権利はあります。
自分の国を守るために、必要最小限度の実力組織。これが自衛隊です。
必要最小限を超えちゃうと、軍隊になるからそれはいけませんという話なんです。
 
なかなかややこしいですよね。ややこしい中で、色んな法律が出来ています。
どのような形のものかを『新・防衛法制』では説明しています。全ての問題を網羅していますから、これ以上の本はありません。
なぜ言い切れるかというと、政府関係者、防衛省の皆さんの協力によって、この本は出来ています。これが一番正しい本です。良かったらお買い求めください。

冷戦後の日本
 
これからの日本は、大きく変わらなきゃいけない。
もっとも大きな変化は、冷戦が終わったことです。安全保障から経済構造まで変化しました。経済学者は、安全保障の面を含めて説明しませんから、うまく説明できていません。経済が大きく変化したのは、冷戦が終わったからなんです。
なるほどなあ、と思うことが多いと思います。
 
湾岸戦争の時に、ブッシュ大統領のお父さんが勝ちましたから、当然再選されるかと思ったら負けちゃいました。

画像出典:whitehouse.gov 

当時、クリントン大統領候補は、当初は無名な人だったんですけど、「これからは経済だ」「雇用だ」といって勝っちゃったわけですね。
それからは、アメリカは経済を一生懸命やっていきました。CIAは、冷戦の時は対ソ連の情報収集を一生懸命やっていたんです。冷戦後は、日本の情報、日本経済の情報を集めて、それをどう分析・工作するかということをやっていたようです。
その結果が、今の日本経済の停滞状況に繋がってきます。

「脱皮できない蛇は滅びる」
 
このように時代の変化と背景を見て、将来を考えていかなければならないのです。
冷戦が終わって、世界中の安全保障も経済構造も変わってしまいました。日本も変えていくべき国の基本法である憲法改正が現実味を帯びてきました。

 フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)

ニーチェの言葉で「脱皮できない蛇は滅びる」というのがあります。
だから、憲法改正反対なんて、なにを考えているのかと思うんです。
憲法っていうのは、必要に応じて着替える洋服みたいなものですから、人間の体が大きくなれば、大きい上着に着替えないといけないわけです。
それだけの話です。
 
憲法改正反対論者は、過去の洋服にしがみつく、まだ冷戦時代を懐かしんでいるのです。
時代が変化すれば、それに応じて変わらないといけないわけです。
それから、もう一つ好きな言葉で、ダーウィンの進化論があります。
「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。
最も頭のいいものか。そうでもない。
それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。
この言葉は、「脱皮できない蛇は滅びる」と同じことです。
 
僕は、環境の変化にいかに順応していくかが、極めて大事なんじゃいなかなと思います。
 
『生きづらい時代 どうしたら元気になれるか!』(坂本博之、車崎隆、斉藤優子、田村重信共著)