Episode ここだけの話など

007.自分の人生は自分で決める! 

人生における真の幸せとはなにか? 
 
聖人賢者は、
「世の中の幸せ(快楽)はたくさんある。しかし、真の幸せを得るにはただ一つ、自分を捨てて、人々のために尽くすこと(=無限の価値)」――といっています。
「人を思いやり、世のため人のために生きる」ことが、「自己の人格を磨き向上させる」ことにもなるのです。
 本当に人のために人生を送ることができたなら、無名でも悔いのない人生を送ることができます。誰でも、幸せな素晴らしい人生を送ることができるのです。
 
オーストリアの心理学者アドラーは、
「人生の意味は他者のために尽くすこと、他者への関与、他者との共同にある」
「私たちは人のために貢献しようと思う、そういう目標があるからこそ、自分自身を最良の状態に置こうとし、社会感情を高めるために自分を訓練し、実践によって習熟し、自分の能力を発達させていく。
つまり、他者への『貢献』という目標があるからこそ、自分自身を最良のものにしようとするのだ」――と述べています。

 アルフレッド・アドラー(1870-1937)

 
人が幸せになるためには、それなりの努力と勉強・実践が必要です。
人生、良いこともあれば悪いこともあります。
善き人生を送るためのコツを身につけるには『論語』が役立ちます。
『論語』を学ぶことによって、自身の人生が善き方向に進んで、幸せを実感できることがわかります。私は、このことを、多くの人に分かってもらいたい、今の日本を良くするには、『論語』を普及させることだと考えて、日本論語研究会をはじめて14年目※になりました。(※講演当時)
最初はこんなに続くとは思いませんでしうた。
これも『論語』を学ぼうという日本人が多いということでしょう。
 
『論語』において我が国の第一人者であられる宇野精一氏は、『論語と日本の政治』(明治書院)の中で、
「今日のような日本の姿は戦後教育にその責任があり、日本人としてのアイデンティティを取り戻すための道徳教育を今一度見直し、施す必要がある」としています。
「文字による教育は、洋の東西を問わず古典教育が原点にあり、古典こそが人としての道を記した人類普遍の倫理である」とし、「『論語』をわが国第一の古典として教育すべきである。」
――と述べています。
 
皇太子殿下(講演当時。現在の天皇陛下)は50歳の誕生日の記者会見で、最後に『論語』を引用し、
「『忠恕』のうちの『恕』、すなわち他人への思いやりの心を持つことが、これからの世の中でますます大切になってくると思えてなりません。」とおっしゃいました。
 
僕は、平成30年1月17日で満65歳、定年退職になりました。
思い返せば、「あっという間」でした。
本当に人生は短い、生まれてから死ぬまではほんの一瞬に過ぎません。
最近僕は、人生とは何か?
その真の意味は?
有意義な人生とは?
幸せとは何か?
――といったことを考えます。
 
その答えは、「幸せとは、身近なところにある。家族との団欒」だと思います。
僕には現在、3人の孫(全員女の子)がいます。
休みの夜に、孫たちと一緒に夕食をする時が一番幸せです。
また幸せとは、人によって違うものです。
 
50歳からの出直し大作戦』(出口治明著、講談社+α新書)に、
 
 いつも「今が人生で一番いい時期だ」
 僕はつねにそう考えています。
 今が一番若い。明日になれば一日歳を取るから。
 だから今が一番いい時期となる。
 
――とあります。
僕も同じように「今が人生で一番いい時期だ」と思い、毎日を生きています。
いま、自分の一生を振り返って、後悔することがない。
それは妻と『論語』と出会ったからだと思います。
『論語』で一番大切なことは「言う」ことではなく「行なう」ことです。

人生の目標=心を高めること=魂を磨くこと
 
稲盛和夫氏は、
人間が死を迎える時、現世でつくり上げた地位も名誉も財産もすべて捨て、魂だけ携えて新しい旅立ちだと。
わずかでも美しく崇高な魂になって旅立つことが、この世の人間の務め。
そのためには最後の最後まで心を高める努力を続ける。
その努力が人間の運命を伸ばす最善の方法だ、と述べています。

自分の人生は自分で決める
 
自分の人生で、どこの国で生まれるかは運命で、自分ではどうにでもなりません。
その後、どう生きるか?
そして、どう死ぬか?
良い人生か?悪い人生か?
それは、自分で決めることができるのです。
友も、自分で決めることができるのです。
「僕には悪い友だちが多くて」と嘆く人がいます。それは、自分が悪いから、悪い友だちができるのです。自分が良かったら、良い友だちができるのです。
人生、人のせいにしないことです。自分で受け留めて、善い方向に持っていく努力をすることです。
「因果応報」、結果はそれに至る原因があるのです。
 
台風になると、倒れる木と倒れない木があります。
倒れない木は、普段は分からない、根がはっているからです。倒れない木は、倒れないような努力をしていたのです。
 
「山中の賊を破るは易し、心中の賊を破るは難し」という大塩平八郎の言葉があります。
これは、目の前の敵を倒すのはある意味で簡単だが、自分の心の中にある敵を倒すのは難しいという意味です。
人生、自分との戦いなのです。
 
最後に次の句を紹介します。
これは、僕の高校時代の恩師の年賀状で教えていただいたものです。
 
「利のやっこ 位のやっこ多き世に 我はわが身のあるじなりけり」(佐佐木信綱)

 佐佐木信綱(1872-1963)

『自殺をしなかった僕の物語 (車崎隆、田村重信共著)』